さて、ガンジス川についた俺はまずガート沿いを端から端まで歩いてみることにした。
(ガートとはガンジス川沿いに続く旧市街の中の歩道の事。約5.6キロ続いていて、各ガートにはそれぞれの名称がある。 その中でも特に知名度の高いのがダシャーシュワメードガート、と呼ばれる岸辺のほぼ中心に存在するガートでより多くの巡礼者がここで"沐浴"をする事になる。)
"ラマ老人"が連れてきてくれたのが"アッスィーガート"と呼ばれる旧市街では上流の一番端に当たるガートだった。
なんのあてもなくただフラフラとガート沿いを歩く俺。デーブ・スペクターより上手い日本語で声をかけてくる少年や俺はサドゥーだ。だから金をくれ!とわけわからん事をほざく老人。(サドゥーとはほぼただの浮浪者だがなぜかインドでは聖者とされ崇拝される人間の事)
ドラッグをひたすらススめるアホ。
ヘラヘラと不思議な言葉で話しかけてきて突然ゲロを吐き何事もなかったかのようにまた同じように話しかけてくるインド女。
なんてとこなんだ...。てかあの女なんで吐いてんの?と思いながらも歩みを進めていく。
しばらく歩き、疲れてきたので<そう言えばインドについてからまともに寝れていなかったのだ>宿でも決めて今日は寝よう。まともに街を歩くのは明日だ。そう思い始めた頃...。
メガネのインド人
"ヘイ!俺のボートに乗らないか?"
ここヴァラナシのガートには多くの"ボートマン"がいてボートマン達は客を乗せガンジス川をボートでガイドする事を生業としている。
すでに多くのボートマンに無数に声をかけられまくっていた俺は"宿を決める前にまずはボートに乗ってみるのもありか"なんて思い始めていた。不思議だ。このインドと言う地にいると、何度も何度も声をかけられているうちにいつのまにか"諦め"とは違う別の感情が誘いにのってもいいかな?なんて事を思わせるのだ。
僕
"んー、いくら?"
メガネのインド人
"1000ルピーでどうだ?"
(相場は150ルピー程、得意のふっかけがはじまるがもう気にもならない)
僕
"さよーなら"
メガネ
"ヘイ!いくらならいいんだ?"
僕
"100ルピーでどう?"
メガネ
"流石に厳しいよ!とっても大変な仕事なんだ、200ルピーでどう?"
僕
"さよーなら"
メガネ
"わかったわかった!150でどうだ?"
僕
"おっけー、じゃー行こう"
こうしてボートに乗ることになった。
観光客たちの多くはボートにのりガンジス川から旧市街の景色を写真に納めるのが定番のコースで当然俺もそのつもりでいた。
ボートに乗ってからしばらくたった頃、メガネがこんな提案をしてきた。
メガネ
"なあ、向こう岸に渡らないか?あっちから見渡す旧市街の景色は本当に美しいぞ。お前はいい奴だから特別連れてってやるよ"
(ガートから向こう岸の大陸には誰一人住んでおらずヒンドゥー教徒にとっては"不浄の地"と呼ばれ敬遠されているのだがごくまれに"向こう岸"に渡らせてやる。と言う提案をしてくるボートマンがいるのだ。)
疲れていた為一言二言しか言葉を交わしていない俺に“いい奴”って何を基準に判断してんの??なんなのこいつ。と思いながらも滅多に行けない"向こう岸"に興味を示してしまう俺。
僕
"そりゃーいい。頼む"
メガネ
"ハハハ!オッケイ!あっち側は楽しいぞー!よし!行くぞ"
こうして俺は、聖なる川"ガンジス川"を渡りガートから反対側、ヒンドゥー教徒にとって不浄の地とされる"向こう岸"に向かう事になった。
続く
自己紹介
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