2015年1月16日金曜日

インドを歩けば⑧ 〜列車内で〜

遂にヴァラナシ行きの寝台列車"siva ganga express"に乗り込む俺。


電車に乗るまでの間だけでも色々な事があった。だがこれで目的の町"ヴァラナシ"に行く事が出来るのだ。ヴァラナシまでは約12時間ほど、しっかり体を休めておこう。
そんな事を考えながら自分のシートを探す。


(俺のシートは7番だったな...お、あったあった)


無事シートを発見しバックパックを置こうとすると...
ん??なんかいる。


何故か俺の7番シートに謎のインド人が既に横たわっているのだ...。
しかも、一人ではなく...二人も。
一体どうなってんだよ...インド。



"ヘイ!そこは俺のシートなんだ!悪いけどどけてくれ"

謎のインド人二人組
"ん〜、オッケィーぃぃい"


気だるそうな声を出したあと二人で思いっきり壁がわに寄りシートにほんの2、30センチのスペースをあけ再び眠ろうとするバカ二人。



"オッケィーぃぃいじゃねーよ。いいからよけろ"

謎のインド人二人組
"んんん〜?オッケイ!!!!!!"


と何故か今度はキレ気味で言い返してくる。だが全く動かないこいつら。


"..............."

無言で二人を引きずり下ろしようやく二人は撤退。ようやく自分のシートの確保に成功した。


さて、バックパックをバーロック(初日で既に華々しいデビューを飾ったあのバーロック、詳しくはインドを歩けば ③をご覧ください) で列車内の鉄柱にくくりつけゴロリと横になる俺。

本当疲れたわ...。とりあえずヴァラナシまではまだまだある。ゆっくり寝よう。

そう思って目を閉じた数分後だった。



(...............!!!!!)



腹が...いてぇ...
(そう、インドの洗礼は一度下したからもう終わりですよ。と言った生易しいもんではなかったのだ。)



ここで気を緩めてしまえばいつだって下界にダイブする準備は出来てるぜ。と言った状態の腹の中の妖精達を必死に押さえ込みそろりそろりと便所まで内股で歩く俺。(この時の俺の後ろ姿は世界1無様だっただろう)


無事、安定の汚さ(日本の使いふるされ放置された仮設トイレの500倍くらいかな)のトイレに到着し、腹の中の妖精達を下界へ解放した。だが腹痛はいくら出しても治まらず結局1時間近く昭和のヤンキーもびっくりな"便所座り"の姿勢を取り続ける事になったのだ。


とてつもなく弱々しい足取りでシートへ戻っていく俺(この時の俺の後ろ姿は宇宙1無様だっただろう)
なんとなく熱っぽくもありフラフラとシートに横たわり目を閉じると不思議な"幻聴"を聴いた。


謎の幻聴
"あの〜大丈夫ですか?"


早くも耳までイカれちまったのか俺は?
こんな所で完璧なまでの"日本語"が俺に問いかけてきたのだ。しかも優しい気遣いの言葉が...


(もう疲れすぎている。早くも日本が恋しいからって日本語の幻聴を聞いてしまうなんて...。とにかく寝よう。起きた時にはきっと体調だって耳だって回復しているさ)


謎の幻聴?
"あの、大丈夫ですか?苦しそうですけど...。"


???
またもや幻聴が...?なんなんだよこんな時に。もうこれ以上俺を苦しめないでくれ。休ませてくれ! そんな思いの中"謎の幻聴"が聞こえた方向へ重苦しい頭を向ける俺。


そこには...


どうみても"日本人"の男性と女性が俺を見つめていた。そして...


日本人女性
"ヤバそうですよ。薬、持ってますか?"
日本人男性
"なにかにあたったんじゃないですか?なにもかもが酷すぎますよね?この国"





俺は神を見た。


幻聴なんかじゃなかったんだ


日本語で話しかけられるのがこんなにも嬉しい事だとは...本当に泣きそうな位嬉しかった。


話をしてみると二人は30ちょい過ぎになるご夫婦で同じく"ヴァラナシ"に行くと言う。
世界一周の旅の途中だそうで、この列車に乗るまでに彼等も相当なインドの洗礼を受け続けた様だ。
まだたった2日しかインドに滞在していないが今まで行った100ヶ国以上の国の中でダントツナンバーワンに"クズな国"と豪語していた。


俺は日本語で話せる喜びと日本語でインド人の悪口をこんなにも共有できること。←悪口言いたくなるんですよ!

そして何より二人の人柄の良さで体調不良も忘れとにかく喋り倒した。
幸福な時間だった。
だがやはり、その後も俺は無様な格好で シート〜便所までを夢遊病のゾンビの様にふらふらと何度も何度も往復するのだった...。




...そして列車は遂に聖なる街"ヴァラナシ"へ到着した。




...俺のケツが悲鳴をあげ続け、20回目くらいの便所〜シート間往復中の頃の到着であった(まだ悲鳴は続いてます)



続く

自己紹介

自分の写真
みなさま、こんにちは。 仙台市泉区のカフェ ROUTE99です。 オーガニック生豆を自家焙煎したコーヒー。素材にこだわった素朴なおかしたち。お店で焼いているパンをサンドイッチに! どうぞごゆっくり♪