2015年2月23日月曜日

インドを歩けば⑫~サイババのいとこ~

物凄い尿意でふと目が覚めると時刻は午後の1時になるところだった。

インドについてからと言うもの、ツアー詐欺のバカやアホリクシャーマン、メガネボートマン、永遠に来ない列車。とにもかくにも色々な厄介者と衝突し続け気が気じゃない日々を送っていた為かほとんど寝れていなかった俺…その影響なのか


なんと俺は


"ノンストップで20時間近く眠っていたのだった"
しかも超不衛生なベッドの上で…非常に心地好く…


用を足し、さて何をしようかと考えるが
…特になにも思いつかずとりあえず街を歩く事に


とてつもなく多彩な"色"を持つこのヴァラナシの街を心から楽しむにはただただ"歩く"のが一番の近道かもしれない。
少なくとも"凧上げ"よりは


フラフラと歩いているとどんな見方をしても"物乞い"にしか見えないガリガリのインド人が


ガリガリのインド人
"ヘイ、占っていかないか?"


と意味深な言葉をかけてきた



"え?なにを"


ガリガリくん
"君の全てさ"


喜びや怒りや哀しみや楽しさや腹痛や彼女欲しさや金欲しさや旅行行きたさやルイヴィトン欲しさや愛しさと切なさと心強さを浮かべた憂いの表情でそう問いかけられると妙に占ってみてもらうか?なんて、そんな気持ちになった。



"いくら?"


ガリガリくん
"2000ルピーでどうだ?"



"いらねーじゃーな"


ガリガリくん
"なんでだ?俺は君のすべてを本当に見る事が出来るのに"



"いやたけーよ、てかお前そんな凄い奴なの?"


ガリガリくん
"フフフ、まあ凄いって言えば凄いな。なんてったって俺はあの"サイババ"の"イトコ"だからな!!!"


な、なに!?こいつがあの"サイババ"のイトコだって?もしもそれが真実だとすれば"全てがみえる"事にも納得が行く。どうする?俺。

少し悩んだが…
いや、しかし高すぎる。惜しいがやめておくしかないな。



"とても残念だがやめておくよ。またいつか"


ガリガリくん
"フフフ、そうか。かなり勿体ないことをしたな。じゃーな"


…見てもらえば良かったかな?サイババのイトコになんてもう2度と会えないぞ…なんて少し後悔しながらも再度街をぶらつく事に。
フラフラと歩き日本の汚い店を5000倍程更に汚くした"カフェ"っぽいお店に入った。
適当に注文を済ませボーッとしていると恰幅のいいゴリラの様なインド人が声をかけてきた


ゴリラ
"よう。マイフレンド!占ってやろうか?"



"え?お前だれ?何を占ってくれんの?"


ゴリラ
"君のすべてさ"



このセリフ、そしてこの全ての感情をひとつの表情で見事に表現しきっている憂いの表情には覚えがある。まさかこいつは…



"あなたは何者ですか?"


ゴリラ
"俺は全てを見る事が出来る特別な人間さ。なぜなら俺はあのサイババのイトコだからな、2000ルピーでど……"


んなわけあるかボケ。やはりさっきのガリガリくんも偽者だったのだ。どうやらこの街では"サイババ詐欺"も行われている様だ。



"さよーならどっかいけアホバカ"


店をでてやる事もないのでまたも歩きだした俺。



その後俺は、特になんの目的もなかったので1日ひたすらに歩き回っていたのだが、部屋に戻るまでの間に4.50人程の"自称サイババのイトコ"に声をかけられ続けたのであった。
二度と会えないどころかこの街を歩いている限り"何度でも"会う事が出来るじゃねーか。
俺は"惜しい事をしたか?"なんてちょっとでも考えてしまった自分の思考回路の浅はかさを恥じながらネズミとほぼ共同のベッドにダイブしたのだった


続く

2015年2月11日水曜日

インドを歩けば⑪ ~向こう岸~

ボートに乗り約30分ほどでヒンドゥー教徒にとって"不浄の地"とされる"向こう岸"へたどり着いた俺。

"不浄の地"と呼ばれるこちら側の大陸は本当に"なんもない"と言う言葉がピッタリとハマる様な場所で見渡す限りとにもかくにも"なんもない"のだ。

砂漠の様に砂辺が果てしなく続き、ちらほらとなんの為に来たんだかわからんインド人達が"カイト遊び"を甲子園大会決勝の当事者の様な真剣な表情で楽しんでいる。
※カイトとは凧上げの様な遊びの事です。


(向こう岸は楽しいぞ~!!!はっはっは)
メガネは俺にそう言っていた




超つまんねーんだけど




"おい、何がおもしろいの?"

メガネ
"はっはっは!カイトをあげようじゃないか!"

インドまできてなんで凧上げ??


"もういーや。写真もとれたし戻ろう"

メガネ
"何いってんだ!ここまで来たんだ!カイトをやろう!"

なんでそんな凧上げやりてーの?
とにもかくにもカイト遊びに付き合わない限り戻ってくれそうにないメガネの態度に観念しどこに隠し持っていたのかいつのまにやら用意されていたカイトをメガネと二人で上げる事に。


メガネ
"俺は凧上げが最高に上手いんだ!見てろ!それ!ハハハハハハハ!!!ほら!見ろよ!どうだ!?ハハハハハハハ!!ソレソレ!!ウワヒャハハハ!!!ウヒョ!"



メガネはアホみたいに凧上げが上手かったしアホみたいにはしゃいでいたしアホみたいな顔面でゲラゲラ笑いながら走り回っていた。



こうして、2時間以上凧上げを堪能したメガネはようやくガートへ戻る事を許可してくれたのだった。


凧上げでここまで体力を使ったのは間違いなくこれが最初で最後だろう…くたくたになりながらメガネが漕ぎだしたボートでくつろぐ俺。
このくそメガネが。とにかく一刻も早く休みたい…。そんな事を考えていると


メガネ
"ヘイ!こーた!あれを見ろ!とっても綺麗だろー!!ワハハハ!"


いちいちうるせーよメガネ
重い首をあげメガネが指差す方向に目を向ける


……とんでもない絶景が目の前に広がっていた。


世界最大の聖なる川、ガンジス川に夕陽が沈んでいきガート沿いの旧市街、不浄の地と呼ばれる向こう岸、力強く建ち並ぶ寺院、水浴びをしてはしゃぐ子供達、物思いに更けるサドゥ、憂いの表情を浮かべ不思議なメロディを奏でるシタール奏者。そんな"ヴァラナシの全て"の光景を神々しく夕陽が照らしなんとも言えない素敵な"雰囲気"を醸し出しているのだ。

不服ではあったが俺は少しこのメガネに感謝していた。こんな光景が見れたのだ。メガネの"カイト遊び"に付き合うのも悪くなかったのかな。と。

※バットトリップして死にかけているバカや川にう○こをかますインド女、カレーみたいななんかよくわからん食い物をひたすら川にぶん投げ続けるおっさん、等々バラエティ豊かな連中も当然の如くこの光景に含まれ溶け込んでおりました


ガートへ戻った俺は本当に疲れていた。
とにもかくにも一秒でも早く眠りにつきたい俺はメガネに宿を紹介してもらい粗末な適当な宿に泊まることに…。クソキタネーベットにダイブし横になった数秒後には俺の意識はすでに別世界へ誘われていった…インドについてからようやくまともに眠りにつく事になったのだった…





続く

自己紹介

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みなさま、こんにちは。 仙台市泉区のカフェ ROUTE99です。 オーガニック生豆を自家焙煎したコーヒー。素材にこだわった素朴なおかしたち。お店で焼いているパンをサンドイッチに! どうぞごゆっくり♪