物凄い尿意でふと目が覚めると時刻は午後の1時になるところだった。
インドについてからと言うもの、ツアー詐欺のバカやアホリクシャーマン、メガネボートマン、永遠に来ない列車。とにもかくにも色々な厄介者と衝突し続け気が気じゃない日々を送っていた為かほとんど寝れていなかった俺…その影響なのか
なんと俺は
"ノンストップで20時間近く眠っていたのだった"
しかも超不衛生なベッドの上で…非常に心地好く…
用を足し、さて何をしようかと考えるが
…特になにも思いつかずとりあえず街を歩く事に
とてつもなく多彩な"色"を持つこのヴァラナシの街を心から楽しむにはただただ"歩く"のが一番の近道かもしれない。
少なくとも"凧上げ"よりは
フラフラと歩いているとどんな見方をしても"物乞い"にしか見えないガリガリのインド人が
ガリガリのインド人
"ヘイ、占っていかないか?"
と意味深な言葉をかけてきた
僕
"え?なにを"
ガリガリくん
"君の全てさ"
喜びや怒りや哀しみや楽しさや腹痛や彼女欲しさや金欲しさや旅行行きたさやルイヴィトン欲しさや愛しさと切なさと心強さを浮かべた憂いの表情でそう問いかけられると妙に占ってみてもらうか?なんて、そんな気持ちになった。
僕
"いくら?"
ガリガリくん
"2000ルピーでどうだ?"
僕
"いらねーじゃーな"
ガリガリくん
"なんでだ?俺は君のすべてを本当に見る事が出来るのに"
僕
"いやたけーよ、てかお前そんな凄い奴なの?"
ガリガリくん
"フフフ、まあ凄いって言えば凄いな。なんてったって俺はあの"サイババ"の"イトコ"だからな!!!"
な、なに!?こいつがあの"サイババ"のイトコだって?もしもそれが真実だとすれば"全てがみえる"事にも納得が行く。どうする?俺。
少し悩んだが…
いや、しかし高すぎる。惜しいがやめておくしかないな。
僕
"とても残念だがやめておくよ。またいつか"
ガリガリくん
"フフフ、そうか。かなり勿体ないことをしたな。じゃーな"
…見てもらえば良かったかな?サイババのイトコになんてもう2度と会えないぞ…なんて少し後悔しながらも再度街をぶらつく事に。
フラフラと歩き日本の汚い店を5000倍程更に汚くした"カフェ"っぽいお店に入った。
適当に注文を済ませボーッとしていると恰幅のいいゴリラの様なインド人が声をかけてきた
ゴリラ
"よう。マイフレンド!占ってやろうか?"
僕
"え?お前だれ?何を占ってくれんの?"
ゴリラ
"君のすべてさ"
…
このセリフ、そしてこの全ての感情をひとつの表情で見事に表現しきっている憂いの表情には覚えがある。まさかこいつは…
僕
"あなたは何者ですか?"
ゴリラ
"俺は全てを見る事が出来る特別な人間さ。なぜなら俺はあのサイババのイトコだからな、2000ルピーでど……"
んなわけあるかボケ。やはりさっきのガリガリくんも偽者だったのだ。どうやらこの街では"サイババ詐欺"も行われている様だ。
僕
"さよーならどっかいけアホバカ"
店をでてやる事もないのでまたも歩きだした俺。
その後俺は、特になんの目的もなかったので1日ひたすらに歩き回っていたのだが、部屋に戻るまでの間に4.50人程の"自称サイババのイトコ"に声をかけられ続けたのであった。
二度と会えないどころかこの街を歩いている限り"何度でも"会う事が出来るじゃねーか。
俺は"惜しい事をしたか?"なんてちょっとでも考えてしまった自分の思考回路の浅はかさを恥じながらネズミとほぼ共同のベッドにダイブしたのだった
続く
自己紹介
- NaturalCafe ROUTE99
- みなさま、こんにちは。 仙台市泉区のカフェ ROUTE99です。 オーガニック生豆を自家焙煎したコーヒー。素材にこだわった素朴なおかしたち。お店で焼いているパンをサンドイッチに! どうぞごゆっくり♪