2015年1月22日木曜日

インドを歩けば⑨〜ヴァラナシ〜

腹はぶち壊したままだったが遂に世界最大の聖地とも呼ばれる"ヴァラナシ"の街へ到着した。


遂に来た。電車から降りた途端とんでもない人の量に唖然とする。(原宿の竹下通りが永遠に続く感じ) そんな喧騒の中、日本人ご夫婦とはここで別れることに。 (どうか楽しんで、お元気で) 強く握手を交わしサヨナラと言った。


またもここからひとりぼっち。俺は泣きそうだった。どうやら日本語での素敵な会話が俺の心を癒しまたも日本語を封印せねばならない...と言う状況が反動となりかなり堪えてしまったようだ。


気を取り直しまずは目的地(ガンジス川)まで行くためにオートリクシャーを捕まえる事に。


『駅からヴァラナシ最大の見所、ガンジス川周辺の旧市街と呼ばれる場所までは約4.5キロ離れている』


場所は変われどやはりここはインド。ドライバーを探す間もなく5秒に一度は声をかけられる。様々な奴に声をかけられ続ける中、他の者とは全く違う...異質のオーラを放つ老人が...


"よう。俺のリクシャーに乗っていかないか?どこまで行く?"


完全につるっぱげた頭にズタボロの布を巻き付け服だかなんだかも定かではない布を着用し、キティちゃんを500倍悪党にした様なキャラクターのプリントが全面に押し出されたサンダルを履いている老人だった。


不思議とこいつに頼もう。こいつなら信用できる。そう思ったのだ。



"ガンジス川の近くまで行きたい。いくら?"


キティサンの老人
"ガートだな。そうだな、80ルピーでどうだ?"

俺は唖然とした。なぜか?
ここ"インド"に入ってからと言うもの、リクシャーマンの全てが法外な値段をふっかけて来る。それをあーだこーだと文句を言いまくり交渉に交渉を重ねようやく乗車となるのがもはやインドのルールなのだ。


それなのにこの不思議なオーラの老人はしょっぱなから交渉など必要のないまともな値段を提示してきたのだ。逆に怪しんだくらいだ




"え?80ルピー?オッケー!てか本当に行けよ?絶対だぞ?土産屋とかいらねーからな?"


キティ
"ハハハ。大丈夫だよ。それじゃあ乗ってくれ"


老人のリクシャーは"サイクルリクシャー"だった。(ただの人力車の様な物でオートリクシャーとは違い人力で漕ぐ為ドライバーにとってはめちゃくちゃハードな乗り物) 名前は"ラマ"と名乗り年齢は本当に驚いたが"77歳"だと言う。
考えてみて欲しい。原宿の竹下通りの人だかりが永遠に続き更に牛やサル、犬、ラクダなどが行き交うデコボコ道を4.5キロも平気で大の大人を乗せ走っていく77歳の老人の姿を。
日本でそんな老人を見かけたらもはや凄い!を越えて"変態"だろう。


40分位走行するとリクシャーが止まった。


ラマ老人
"ついたぞ。気をつけてな"



"ありがとう。スムーズに行ってくれて本当に助かった。"


ほんの気持ちのつもりで80ルピーの他にチップで50ルピーを渡そうとすると


ラマ老人
"なんのつもりだ?いらん"


俺はここで、本当に唖然とした。それと同時に涙がでる程に嬉しかった。
やはりインドにもいるのだ。こんなにも誇り高くたくましい誠実な人間が。




"ありがとう。さよなら"


ラマ老人はニコッと笑い、向かって右側を指差しそのまま手を降って行ってしまった。


ラマ老人が指差した方角へ目を向けると


"ガンジス川"


が、たくましく流れていた。






続く

自己紹介

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みなさま、こんにちは。 仙台市泉区のカフェ ROUTE99です。 オーガニック生豆を自家焙煎したコーヒー。素材にこだわった素朴なおかしたち。お店で焼いているパンをサンドイッチに! どうぞごゆっくり♪