ヴァラナシの街特有の迷路の様に入り組んだ道をHと並びスタスタと歩く俺。
どれくらい歩いただろうか…歩き疲れ始めた頃に彼が口を開いた
H
"ここどこだ?"
え?
僕
"いやいや、俺に聞くなよ。わかんねーよ。ゲストハウスは近かったんじゃないのか?"
H
"いや、そーなんだけど迷った"
…
そう。この街は冗談抜きで入り組みすぎている為、下手なアトラクションの100倍本気の"迷路"なのだ。
よって俺達は、近くのゲストハウスに向かうどころか自分たちがどこにいるかもわからなくなってしまった。
その辺の物売りやリクシャーマン、警察官の職務を100%放棄した"警察官"等々バラエティ豊かな様々なメンツにたずねまくるが様々なメンツの誤った情報によりおよそ徒歩10分の距離を2時間ほどかけようやくゲストハウスに辿り着いた。
H
"ここだ!とりあえず飯を食おう!屋上に食堂があるんだよ!"
(サンディヤゲストハウス)と建物の外壁に大きなスペルがあり、5階建てで中々にアジのある建物であった。
僕
"そーだな、とりあえずメシだ"
そして屋上にあがるとインドで入ってきた食堂の中ではダントツに綺麗な、しかもテレビつき(なぜか忍者ハットリクンが放送されていた。ハットリクンは勿論ヒンデゥー語を流暢に話していた) の食堂が目の前に広がる。
なにやらHがゲストハウスのスタッフに俺の事を耳打ちしているようだ
ゲストハウススタッフ
"よう!マイフレンド!とりあえず腹減ってんだってな?超ウマイカレー食わしてやるよ!"
僕
"おう たのむ"
H
"こーた、ここのカレーは本当にウマイぞ、バターチキンカレーにしとけよ"
僕
"そーだな、じゃーそれ"
注文してから30分ほどたった頃、料理が運ばれてきた(インドでは一時間"場合によっては2時間"ほど料理が出てこないこともしょっちゅうあるので30分はかなり優秀と言える)
ゲストハウススタッフ
"待たせたな!バターチキンカレーだ!"
これまでインドで見てきたカレーとなんら代わり映えのない見慣れたインドカレーが目の前に置かれる。
〈やはりな。これまで食ってきたカレー同様、キレイさっぱり"コク"と言うものを排除され味気が一切なかったり、ただただ辛いだけのカレーで間違いあるまい。まあハナから期待などしていなかったさ、もはや少しはインドの味になれた俺だ。せっかく彼がここまで連れてきてくれたんだ。適当に旨い"フリ"でもするさ。〉
そう思いチャパティ(インド人達の主食でほぼナンだと思えば良い)をカレーにタップリとつけ、思いっきり頬張る俺。
………………………………
!!!!!!!!!!!!!!
うめぇええぇえええええええええぇええええええぃ!!!!
あまりの旨さに動揺を隠せなかった俺はこの旅のストレスで遂に自分の味覚がどうかしちまったのか??
と思うほど混乱した。
まさかここインドで"旨い食事"にありつくことが出来るなんて……。
俺は半ば混乱した思考のなか、付け合わせの"グリーンティー"に手を伸ばした。
………………
まじぃぃいいぃいぃぃいぃいい!!!
なぜかあめぇえええぇええ!!!!!
俺は自分の味覚がまだ正常であった事を確認しまた最高に旨いカレーを頬張るのだった。
だがそれにしても本当にうめえ。なんなんだ
H
"ここのカレー旨いだろ?俺インドに来てから唯一旨いと思ったよここのメシは"
僕
"ああ、そうだな"
俺は名探偵コナンがヒロインの"ラン"に対し普段は(ラン姉ちゃん)と可愛く呼ぶのに時折〈ラン!〉と信じらんないぐらい男らしい声で呼び掛けるのと同じくらい違和感のあるイイ声でそう答えた。
続く
2015年4月10日金曜日
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